2014/07/09

便乗コラム

人は価値観を買い、纏(まと)う。


ネットで話題になった記事を読み解きながら、自分なりの考えを述べる「便乗コラム」の時間がやってまいりました。便乗なんだから楽に書けるだろうと思っていたら、書きはじめると結局ウンウンと唸りながら一文一文進めていくことに。便乗もなかなか一筋縄ではいかないものですね。ラクして何かを成し遂げようという発想がそもそもいけません。

さて、今回便乗する記事はこちら。電通パブリックリレーションズの情報サイト「DIGITAL BOARD」に掲載されている、フリーライター・編集者の小山田裕哉さんへのインタビュー記事です。

ラグジュアリーに学ぶ「安売りせずにどうやってモノを売るか」
http://dentsuprdigital.com/cat17/post_49.html

シャネルやロレックスといったいわゆるラグジュアリーブランドについての話を起点にあらゆる製品・サービス・企業に「物語」「世界観」の「体験」が求められてきているというブランド論が展開されています。

面白いと思ったのは「今の消費者って『理由』がないと買わないんですよ」という部分。「『楽しさ』とか『伝統』とか『信頼性』というものに人はお金を払っている」というのです。

これって確かにそのとおりですよね。私自身アップルで何かを買うとき、ただパソコンというモノを買っているだけでなく、「クリエイティブさ」や「先進性」というアップルの世界観にお金を払っているところがあります。つまり、いまの時代、人は「それを買うことで、どんな価値観を纏(まと)えるの?」というところをすごく重視するようになったということだと思うんです。

記事の中で例として挙げられていたのは「無印良品」でした。
少し長いですが、引用します。

「無印良品の無地のTシャツって、機能的にはほかのブランドでもいいはず。何も書いてないわけだし。それでもあえて無印良品を選ぶ、っていうのは、無印を買うことが、『無印的な世界観』に対する『支持の表明』になっているんです。・・・無印良品が売れているのは安くていいからだけではなくて、高級ブランドとある種一緒で、ちゃんと世界観とか、メッセージみたいなものを積極的に打ち出すことで、作り上げたブランドであるというのが大きいです。」

購入という契機はそのブランドの世界観への「支持の表明」でもあるし、支持している「わたし」の価値観の表明でもありますよね。アップルの「クリエイティブさ」に惹かれてMacを購入するわたしはおそらく「クリエイティブに生きたい」という価値観を持っていて、Macを持つことでそれを表明したいんだと思います。

何かを購入する、手に入れる、身に纏(まと)う、体験するなど、これらはすべて「わたし」の価値観を形成・表明する作業なわけです。たまたま購入したTシャツがやたら派手なデザインでナチュラル志向であるわたしの価値観にそぐわないとき、わたしは確かに「すわりの悪さ」や「ちょっとした違和感」を感じるのです。

もう一度整理すると、人は価値観を買うし、纏(まと)います。
そして、その価値観でもって、世の中を捉え、日々を暮らしています。

そういった生活者に対して、企業はどう対峙していくべきか。
結局、価値観には価値観で向き合っていくしかないでしょう。つまり、自分たちは何者で、どんな価値観のもと、社会にどんな価値を提供しているのかということを語ることができるかどうか。企業が企業活動を行っている「理由」を生活者は求めているのだと思います。そして、そこにお金を払うのです。これからの時代、企業に求められているのは、一言で言うと「意志」なのかもしれません。

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