2014/09/16

便乗コラム

「異質なものとの出会い」のもつ価値


ネットで話題になった記事を読み解きながら、自分なりの考えを述べる「便乗コラム」の時間がやってまいりました。さて、今回便乗する記事はこちら。NAVERまとめに掲載されている、北海道の小さな本屋さんに関する記事です。

【なぜ?】田舎にあるのに全国から注文が殺到する本屋さん【本好き必見】
http://matome.naver.jp/odai/2140893292978353201

この記事によると、とあるサービスをはじめてから人気に火がつき、いま全国から注文が殺到している小さな書店が北海道にあるというのです。「1万円選書」と名付けれられたこのサービス。中学生時代には図書館にある小説はほとんど読んでいて膨大な情報量を持ち合わせているという店主が1万円分のおすすめの本を送ってきてくれるのだそうです。

このサービス、おもしろいですね。とても価値のあるものだと感じました。そう思った理由は二つあります。

ひとつは、「自分で選べない」ということ。自分で本を選んで読んでいると、いつのまにか自分の知っている範囲のジャンル、著者のなかで本を選んで読むことが多くなります。すると、どうしても読書体験がタコツボ化してくるというか、似通ったものになってきます。でも、本来、本を読むという行為には、これまでの自分の経験、知識の範ちゅうにはないもの、はみ出すものに出会って自分の世界認識に位相のずれが生まれ辺りを見渡す目が変わるところにひとつ、その価値があると思うのです。つまり、「異質なもの」に触れることが大切なのだと。

普段小説しか読まない人に、その小説を読んでいるあなたにぜひ読んで欲しいビジネス書がある、みたいなことができれば、利用者にとって世界が広がる契機になりそうですよね。

一方で、どんな本を選んでよいのかがそもそもわからないという人もいると思います。誰かのアドバイスやおすすめがないと本を選びとるだけの理由を持てない。でも本は読んでみたい。そういう人には、ある程度専門家が強制的にこれを読もうと言ってくれることで、読書をする契機が生まれるのなら、それはそれですごく価値があることだとも思います。

となると、こういうサービスが成立するには、専門家が必要となります。このサービス、基本的には店主に対する専門的信頼があるから成り立っているのだと想像します。自分で選ばないのですから、選んでくれる人への信頼が不可欠ですよね。1万円も投資するわけですし。

実際にはその専門的信頼を彼がどのようにして得ているのかわからないのですが、専門家として何らかの”与え”をこれまでずっと行ってきたことによって社会的資本(ソーシャル・キャピタル)が蓄積されてきたからこそ、「本をお任せで選ぶ」ということを任せてもらえていると言えるのではないでしょうか。

「検索」して自ら能動的に選んでいくのではなく、ゆるいつながりのなかで専門家に出会い、何かを任せてみようという気になる。そういう意味においては、「1万円選書」というサービスは、非常に”ソーシャル的”なサービスだとも感じました。実際にソーシャルメディアとの相性もよさそうです。

今後も「1万円選書」のようなサービスは増えてくるような気がします。今回は、北海道の小さな書店のお話に便乗して、「異質なものとの出会い」の価値について考えてみました。

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